注意書き

このSSSは『感じる想い』が下地として設定されています。






恋人達のただの朝







自分は仕えるべき人をお慕いしています。

そんなことは、私には昔から…何年も前から、分かりきった事でした。

「……志貴様、失礼します」

朝、いつものように部屋に入り、主人を起こす。

それは、私の仕事

関係が変わっても、それは変わりません。

「……」

自分の表情は、自分には見えません。

でも、私は今、浮かない顔をしているのだと思います。

それは、私が悪いのに―――

たとえば、志貴様が告白してくれて、私がそれに応えて、それから

笑いかけてくれる、志貴様に私はどう応えていいか分からないのです。

笑えばいいのかもしれない。

でも、私はうまく笑えない。

想いを伝え合ったのに、志貴様の手を握ることも出来ていない。

何も変わらない。

これでいいのだろうか?

伸びてくる手を、握ることも出来ない私

微笑を返すことも出来ない私

なんて、臆病―――。

「志貴様……」

名を呼んで近づく。

主人に朝を伝えることが、この時間の私の仕事

でも、それは…いつもと変わらないことが、繰り返されるだけで

それでいいのだろうか?さっきも思った言葉が、繰り返し頭に響いていて

その言葉に、思いに、突き動かされるようにいつもの位置より一歩、私は足を動かした。

なにか…足が地に付いていないような、私の身体が私のものでないような感覚です。

まるで熱に冒されているような……

こんなことをしていいのだろうか?

先ほどと似た、しかし逆の意味を持つ言葉が、私の頭の中に響いています。

一歩、一歩と近づいて、手を伸ばせば届く距離まで、きています。

ゆっくりと伸びる、私の手

でも、その光景すらこの場でない映像の中のことのように現実感が感じられなくて

それでも、肩に触れる瞬間に、私の手は戸惑って

私は―――想い人に触れました。

「志貴様」

手に伝わる、愛しい人の体温

「志貴様」

私は、不安を抱えながら…ありったけの想いを込めて、名を呼ぶ。

「志貴様…起きてください」

何度も、何度も…名を読んで、触れた体が震えて…仕える人が…大事な人が目を覚ます。

私は、触れた手はそのままで…いつもの言葉を口にします。

「志貴様、もうお目覚めになられる時間です」










貴方の目に映る私は今、綺麗に笑えていますか―――?







あとがき


試験的SSS

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